「読まない⇔読めない」スパイラルとは、しっかりと読み取れないから、読まずに問題を解こうとし、逆に、しっかりと読まないから、読解力が育たなくなり、読み取れなくなることを意味します。よく読まない生徒で勉強ができる子は、実際にいないです。よく読んで解いていくことは、当たり前のことですが、読まずにはやく解くことのテクニックを優先して指導する塾も増えてきているようです。「速読」の指導を行っている塾もあります。また、国が行っている大学入試の共通テストは、問題量がかなり多いので、問題を素早く処理することが要求されます。しかしながら、テクニックを使って早く問題を解いていくことは、普段、よく読んでいることを前提条件にして、その試験に応じて取り入れていくべきです。よく読んで勉強などのすべてのことに取り組んでいる生徒とそうでない生徒では、学力(能力)の差が開く一方になります。
しっかりと読まないで問題を解いていく生徒に対しては、当塾ではよく読むことを厳しく粘り強く繰り返し言います。たとえば、この数学の問題は、「この生徒ならしっかり読めば解けるはずだ。」と思えば、「何回も、しっかり読んで考えてみて。」と言い、時間をかけてでもやらせます。そうすると実際に、生徒の自力で解ける場合も多いです。読んでいない生徒に、問題に書かれている内容をすぐに教え、解き方を解説してしまうことは、その時は、その生徒は理解できて満足するかもしれません。しかしながら、結局は、よく読まないことが繰り返されて、その生徒の成績は短期的に上がることはありますが、少し長い目でみたら、学力(能力)は上がりません。私の感覚では、一般の学校の3~4割の生徒は、よく読まないで、答えを出そうとします。逆に、上位の生徒達は、ほとんど必ずよく読んで問題を解いていきます。読まずに問題を解こうとする生徒が増えていることが、以前のブログに書いた「学力の二極化」の最大の原因だと思っています。
私が子供のころは、学校の先生に「よく読んで。」とよく言われたものでした。最近では、中学校の実力テストの国語の現代文の問題や英語の長文問題で、先に問題文を見て、本文中から答えを探すように指導する学校の先生もおらます。そのようなテクニックは必要な場合もありますが、学校の先生が言われることに驚いています。
誰でも(私も)しっかり読まないで、物事を処理しようとすることはあります。たとえば、保険会社からの説明は聞きますが、自身も、医療保険の契約内容をほとんど読まないです。ネットニュースなども飛ばし読みすることが多いです。だから、よく読まないで問題を解こうとする生徒の気持ちもわからないわけではないですが、能力がどんどん成長する生徒たちにとって、よく読んで国語力を高めていくことは、すべての教科にとって一番重要なことです。
「読めない⇔読まない」スパイラルにおちいっている生徒は、まず、そのスパイラルから抜け出さないと真の学力の向上は望めません。抜け出すためのヒントとして、集中してゆっくり読むことを勧めます。よく読む習慣がついて国語力が向上してくれば、はやく読めるようになるかと思います。
当たり前のことですが、とにかく良く読んで考えることが、学習においてや自分の能力を高めるために最も重要です。そのことができていないのに、成績を上げることを望まない方が良いくらいです。まず、しっかりと読むことを優先してください。
